WwiseでMidiのマジックを使う 『New Super Lucky's Tale』のFoxberry Timer

オーディオプログラミング / ゲームオーディオ

親愛なるWwiseユーザーの皆さん、こんにちは。

ゲームオーディオの世界で生き残るために不可欠なスキルといえば、問題解決能力です。ツールの良し悪しを把握しているかどうかで、結果に雲泥の差が出てきます。昨年、Switchの陽気で愛嬌のある『New Super Lucky’s Tale』の作曲を手がけていた時に私はある問題に遭遇し、まさしくこのスキルが必要となったのです。そして私が選んだソリューションが、Wwise MIDIシステムです。

iMuseやCreative Labsのサウンドカードの時代から、ゲームオーディオコンポーザーの悩みを解決してくれたのがMIDIです。「でも今は2020年。MIDIはKeytarと同じくらい時代遅れでは?」と思うかもしれません。でも、まず、Keytarこそ天のシンセの神様が授けてくださった最高の楽器です。さらに、MIDIは全く時代遅れなんかではなく、このチュートリアルを読めば、今でもMIDIがどれだけ役に立つのかが分かるはずです!Wwiseのパワーをフル活用したい方はぜひお読みください。

Foxberry Timerの挑戦

このメロディーをデザインするのに、他にはないような問題がいくつかありました。

  • Foxberry Timerは、その都度、長さが全く違います。
  • その長さには、決まった時間がなく、アルゴリズムで算出されるチャレンジ難易度に応じて、ランタイムに決定されます。
  • この音楽自体は、いつ、どのようなメロディに重ねて再生されるのかは分からず、メロディには様々な音楽キーや拍子があります。
  • プレイヤーがコインを集めるときの緊張感を高めるために、どのチャレンジでもカウントダウンの雰囲気に統一感が必要です。
  • 従来のWwiseミュージックシステムでは、全ての可能性に対応できません。幸運にも、WwiseとWwise MIDIの機能を活用することで、これらの問題を解決できました!

下の動画では、メロディーの作成、BPMカーブのモックアップ、Abletonからのサンプルのエクスポート、MIDIのエクスポート、Reaperを使ったサンプル分割、そしてWwiseへのインポートの私のワークフローと、Foxberry Timerの異なる長さに関係なく、いつでもうまくいくように、WwiseでRTPCを使ってまとめていった過程を紹介しています。

 

 

パート1:Abletonのモックアップ

まず、システムが本当に使えることを確認しようと思いました。使ったのはAbleton Liveです。簡単なイテレーションやクリエイティブな作業を行う際は、Abletonが最高に便利です。今回の場合、メロディー全体を書き出して、ゲーム中のRTPCと同じように動くように、BPMの上下をモックアップしました。そして、簡単にカーブを何種類かテストし、全体的なサウンドがどのシナリオでも使えることを確認しました。

続いて、サンプルやMIDIの下準備ができるように、BPMを平らにしました。ディスクの空きを節約するため、各オクターブをCとGだけにして、サンプルを分散させました。1オクターブにつき2サンプルあれば、大体の場合はうまくいき、作業効率が上がることを、私は経験上知っています。もちろんこれは、採用するサンプルや、使う楽器の複雑さによって異なります。

 

パート2:Reaperで編集とエクスポート

モックアップが準備できたところで、ファイルをReaperに取り込み、サンプルの前処理を行いました。なぜ直接Abletonで編集しなかったか?そうですね、Abletonでの編集作業は…何と言っても面倒だし、はやく目的を達成した方が、はやく頭の中のクリエイティブなアイディアを表現できます。私は、ワークフローがはやいほど、クリエイティブになる人です。Reaperは、超高速で、ファイルの命名規則を保ちながらファイルを切り刻んだりエクスポートしたりできます。ファイルをDynamic Splitで分割できたら、ReaperのRegion Managerやワイルドカードからエクスポートします。こうすれば、全ファイルを一様に編集、前処理、命名することができるため、Wwiseでマッピングする作業がずっと楽になります。

 

パート3:Wwiseをゲーム内で使う

次に、MIDIミュージックシステムを設定するため、ReaperのファイルをWwiseにインポートします。ここで使うシステムは、私が全サンプルを入れるためにブレンドコンテナを使ってつくったものです。MIDI Keymap Editorを使って、Wwiseで正しくトリガーされるように全てのファイルをMIDIキーレンジにマッピングします。続いてMIDIトラックを取り込んでブレンドコンテナにマッピングして、サンプルが再生されるようにします。最後に、MIDIトラックのスピードを制御できるように、再生スピードにRTPCを設定します。

ここまでやれば、MIDIミュージックがトリガーされ、再生スピードは、チャンレンジがもうすぐ終わるという段階になると速まるスピードRTPCに紐づけられて変化しますが、MIDIがトリガーする音符は、ピッチが再生スピードに影響されないのでキーがずれません。

 

ヒント:WAAPIで処理をスピードアップ

私がこのYouTube動画を投稿した後に、MIDIの魔術師Bernard Rodrigue氏が、WAAPIでブレンドコンテナに5秒でMIDIキーマップを適用する方法を投稿しました。ソースコードと手順がGitHubに掲載されています。手作業と比較してワークフローが大幅に向上します。時間を格段に短縮できるのでぜひ見てみてください。

 

その他のMIDI動画: 

MIDIコントローラを接続する 

 

 

 

 

 

MIDIファイルをインポートする

 

フィナーレ:まとめると…

これまでWwise MIDIを使ってみたい、と思っていた方は、音楽をWwiseでトリガーしてゲームの音楽として使うための、基本ガイドとしてこれを活用してください。私がこの強力なツールの使い方をコミュニティと共有しようと思ったのは、オーディオを手掛ける親愛なる皆さんに伝えたかったのと、MIDIのパワーを、皆さんの音楽ワークフローに少しでも取り込みやすくしたかったからです。これを使って素敵な作品ができあがったら、SNSであなたのMIDIマジックを教えてください。 :)

アーロン・ブラウン(AARON BROWN)

AARON BROWN SOUND

アーロン・ブラウン(AARON BROWN)

AARON BROWN SOUND

2007年からルーカスアーツ、Playful、Epic、Electronic Arts、アクティビジョン、Naughty Dog、Twisted Pixel、スターブリーズ、Ravenなどの業界大手や、注目のモバイルゲームデベロッパらと共に、オーディオ体験を次々と創出。『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』や『The Force Unleashed 2』など、音響関連の賞を獲得したビデオゲームに自分のスキルを活かす機会に恵まれる。VRの作曲、サウンドデザイン、そして実装も手がけ、『Path Of The Warrior』、Oculusの『Lucky’s Tale』や『Robo Recall』、スターブリーズ・スタジオの複数のプロジェクトなどに携わる。サウンドコミュニティーの発展と向上にも注力。オースティン市在住。Austin Game Audio MeetupやMosaic Sound Collectiveのイベントを主催。AES Central Texas役員。

 @aaronbrownsound

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