アンビソニックスのソースポジショニングは、ミキシングの瞬間のゲームオブジェクトやリスナーのポジショニングに基づいて決まり、これは他のチャンネルコンフィギュレーションと変わりません。このためアンビソニックス設定のサウンドオブジェクトを他のコンフィギュレーションとサブミックスできるものの、その場合は空間情報が失われるかもしれません。例えばサブミックスが7.1であると、アンビソニックスAudio Busにミックスした時にHeight情報がすべて失われます。同様にサブミックスが7.1.4 であれば、元々リスナーの耳より下に配置されているオブジェクトが耳の高さに聞こてしまいます。以上の理由で、サブミックスにもアンビソニックスを使うことが推奨されます。空間配置の精度がそれほど重要でなければ、より低いオーダーを使っても良いでしょう。
Wwiseは、オーディオをアンビソニックスにコンバージョンしたり、アンビソニックスからコンバージョンしたりすることを、各種コンフィギュレーションのルーティングに従って自動的に行っています。その結果、アウトプットは、使用するコンフィギュレーションやSpatializationのモードによって変わってきます。これらの要因で決まるルーティング処理の一般的な情報を、下表に示します。
Routing |
3D Spatializationなしの場合の動作(Direct Speaker Assignment) |
3D Spatializationありの場合の動作 |
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標準コンフィギュレーションから、アンビソニックスへ |
信号がアンビソニックスにエンコードされる。 モノソースは直接、W(オムニ)チャンネルにエンコードされる。 マルチチャンネルソースの場合は、各チャンネルを、そのチャンネルに基づいた入射角を有するモノソースとして扱う。例えばステレオソースの場合は、左チャンネルが左45°にあるモノソースとしてエンコードされ、右チャンネルが右45°にあるモノソースとしてエンコードされる。全てのインプットチャンネルの角度を以下に示す(時計回りを正とする):
入射角の決まったソースのエンコード方法は分かりやすい。 |
リスナーのポジションや向きに対するゲームオブジェクトの相対位置に基づいた入射角を使い、信号がアンビソニックスにエンコードされる。 マルチチャンネルファイル、スプレッド、フォーカスは標準コンフィギュレーションの場合と全く同様に扱われ、様々なインプットチャンネルを表すバーチャルソースは、ゲームオブジェクト、リスナー、フォーカス、スプレッドに基づいてリスナー周りに配置されて適宜エンコードされる。スプレッドやフォーカスに関する詳細は、 「オブジェクトプロパティの減衰カーブ」 や 「3Dポジショニングのイメージ図」 を参照してください。 |
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アンビソニックスから、アンビソニックスへ |
スピーカーの直接割当が行われる。インプットのオーダーの方が高ければ、余分なチャンネルが捨てられる。インプットのオーダーの方が低ければ、アウトプットの余分なチャンネルは無音で残される。
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アンビソニックソースの3Dスペーシャリゼーションを行うと、マルチチャンネルの通常の3Dスペーシャリゼーションと同じ動きになります。 Spread が0では、アンビソニックインプットは畳まれ、モノサウンドとなり、エミッターであるゲームオブジェクトのポジションに配置されます。 Spread を100にして、 Spatialization Mode の設定を Position + Orientation とすると、アンビソニックのインプットが、ゲームオブジェクトとリスナーの相対的な向きに従い、回転されます。ただし、 Spatialization Mode の設定が Position Only であれば、回転されません。3Dスペーシャリゼーションの詳細については、 「3Dポジショニングのイメージ図」 を参照してください。 インプットとアウトプットのオーダーが異なる場合は、小さいオーダーを使って回転を計算し、高いオーダーを無音にする。 |
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アンビソニックスから、標準コンフィギュレーションへ |
アンビソニックス信号を、ゲームで指定されたスピーカー位置を使ってアウトプットコンフィギュレーションにデコードする。スピーカー位置の設定方法は |
アンビソニックベッドは、アウトプットコンフィギュレーションがアンビソニックスであるかのように(上記参照)回転され縮小されますが、そのあとに、アウトプットの標準コンフィギュレーションに合わせてデコードされます。 |
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注意 |
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Direct Speaker Assignmentのモノソースを、直接フロントの方向のソースとして処理するのではなく、W(オムニ)チャンネルにエンコードすると、異常な再生が起きます。モノソースをアンビソニックバスにルーティングし、そのバスが標準コンフィギュレーションのバスへルーティングされていれば、モノソースがすべてのアウトプットチャンネルから再生されるような結果となります。これは、モノソースをCチャンネルまたはL・Rチャンネルだけに送るという、Wwiseの典型的な動きと異なります。 |