• A. サーフェスリフレクタと、ポータル
• B. サーフェスリフレクタと、リバーブ
• C. 回折（Diffraction）
• D. Transmission（透過）
• E. Roomを認識できるSurface Reflector（最適化）

注記： このページの前提として、 Spatial Audioチュートリアルの事前準備 を完了し、さらに サーフェスリフレクタ（Surface Reflectors）に関するチュートリアル と、 ルームやポータルに関するチュートリアル の両方を完了しておいてください。

A. サーフェスリフレクタと、ポータル

ポータルが、ルームという空間の開口部として音の伝播を通すのと同様に、反射面の開口部としても機能します。単純な立方体をサーフェスリフレクタとして使うと、設定したメッシュの開口部分で、リフレクション（反射）が発生してしまうことを、私たちは サーフェスリフレクタ（Surface Reflectors）に関するチュートリアル の終わりで発見しました。この問題の対策として、Spatial Audioのポータルは、リフレクションパスも認識し、通過させます。リフレクションパスは、ポータルの境界線で回折することもできます。

1. 設定は単純で、ルームとサーフェスリフレクタを貫通するポータルを配置するだけです。
   

   リフレクションパスがポータルを通過する様子を示す、Game Object 3D Viewer

B. サーフェスリフレクタと、リバーブ

後期リバーブ（late reverb）のあるルームでは、アーリーリフレクションをリバーブに送り込み、空間の形状をリバーブで意識できるようにすることが可能です。

1. Wwiseプロジェクトで、Reflectエフェクトを適用したAuxiliary Busを開きます。
   1. General Settingsタブで、 Use game-defined auxiliary sends がチェックされていることを確認します。
      

      Auxiliary Bus Property EditorのGeneral Settingsタブで、ルームリバーブにアーリーリフレクションを送る
2. シーンを再生して、小ルームのボタンを押します。プレイヤーが小部屋にいると、Voices Graphには以下のように表示されます:
   

   Voices Graphで、小ルームのアーリーリフレクションを、小部屋のリバーブに送る

C. 回折（Diffraction）

エミッターとリスナーの間にオブジェクトが出現するときに、Spatial Audioを使い、このオブジェクトの周りを回る回折パス（diffraction path）を作成できます。エッジを回るパスの角度に基づいて、オブストラクションをシミュレーションし、音を減衰させます。Diffraction（回折）を、個別のSoundや、個別のSurface Reflectorに対して設定できます。回折を有効にしたサウンドを出すエミッタは、回折を有効にした反射面でしか回折しません。

1. サウンドのDiffractionを有効にするには:
   1. Positioningタブで、Enable Diffractionチェックボックスがチェックされていることを確認してください。
      

      サウンドにDiffractionを設定する
2. AkSurfaceReflector コンポーネントの回折を有効にするには:
   1. Enable Diffractionをチェックします。これで、Wwise Spatial Audioに送られるジオメトリに、回折エッジが生じます。Wwiseがゲームに接続したときに、回折エッジをゲームオブジェクトビュアーで見ることができます。
   2. 場合によって、Enable Diffraction On Boundary Edgesもチェックします。前の手順のチェックボックスをチェックすると、このチェックボックスが表示されます。バウンダリーエッジとは、1つの三角形だけに接するエッジです。例えば、UnityのQuad 3D Objectを囲うエッジなどは、バウンダリーエッジとみなされます。
      

      回折（Diffractionを有効にした AkSurfaceReflector
3. Wwise Unity Demo Sceneでは、Outside（屋外）エミッター、バリア（障害）、そして建物の外壁で、回折を有効にしてあります。回折パスは、紫色です。それぞれの、音が聞こえる場所に、バーチャルソースを配置します。
   

   Game Object 3D Viewerに表示された回折パス

D. Transmission（透過）

エミッターとリスナーの間にオブジェクトが出現すると、音はそのオブジェクトの中を通過することもできます。Spatial Audioは、音のダイレクトパスにオクルージョンを適用することで、この現象を再現します。Occlusion値を0から1の範囲で設定し、 AkSurfaceReflector や AkRoom コンポーネントに適用します。このOcclusion値がWwiseに送られ、そこで、プロジェクトのOcclusionカーブに従い該当フィルタが適用されます。一般的に、設定値が1.0であれば完全なオクルージョン、設定値が0.0であればその音がジオメトリを透過することを意味します。

1. Spatial Audioの初期設定で、Transmissionを有効にします
   

   Spatial Audioの初期設定
2. ある音がエミッタからリスナーまでのダイレクトパスで遭遇する AkSurfaceReflector や AkRoom コンポーネントの、最大オクルージョン値が、その音の透過値です。
   1. AkSurfaceReflector コンポーネントで、Surface Reflectorメッシュの各サブメッシュにオクルージョン値を紐づけるために、 Occlusion Valuesアレイの設定値を入れます。
      

      AkSurfaceReflector コンポーネントのOcclusion Valuesアレイ
   2. AkRoom コンポーネントで、Wall Occlusionパラメータのオクルージョン値を変更します。
      

      AkRoom コンポーネントのWall Occlusionパラメータ
3. Wwise AuthoringのProject Settingsで、Obstruction/OcclusionタブにあるOcclusionカーブを調節します。
   

   WwiseのProject Settingsの、Occlusionカーブ

E. Roomを認識できるSurface Reflector（最適化）

Spatial Audioにサーフェスリフレクタを追加すると、必ずそのディフレクションエッジや、視界に入るかが、分析されます。この処理を最適化するために、各ルームに、複数のサーフェスリフレクタをつなげたグループを設定できます。1つのルームに関連付けられたサーフェスリフレクタは、ほかのルームからは見えません。サーフェスリフレクタを、1つのルームに関連付ける（1つのAssociated Roomを設定する）のが適しているのは、サーフェスリフレクタがそのルームに完全に包囲されていて、そのルームに、ほかのルームと共有するサーフェスリフレクタがない場合です。ルームを、サーフェスリフレクタに関連付けるかどうかは、全く自由です。ルームを選択していないサーフェスリフレクタは、サーフェスリフレクタをまとめたグローバルグループに追加されます。サーフェスリフレクタをルームに関連付けることで、リフレクションや回折の計算によって実行するレイキャストの、サーチ対象範囲を限定できます。

1. ルームとサーフェスリフレクタを関連付けるには、 AkSurfaceReflector コンポーネントの中のAssociated Roomの下にある、ルームを、1つ選択します。
   

   ルーム形状を認識できる、AkSurfaceReflector