個別のプレイヤーに特化したエクスペリエンスをプレイヤーに提供するには、Automationを使い3Dオブジェクトのスペーシャルポジション(Spatial position)を設定します。Wwiseでポジショニングを事前に設定すると、リスナーの位置や向きに関わらず、以下のエクスペリエンスが提供されます。
サウンドが同じスピーカーから聞こえてくる。
モーション(バイブレーション)が同じモーターから伝わってくる。
ポジショニング情報は、アニメーションパス(Animation path)を使って設定します。アニメーションパスは、ある時点のソースの場所を定義する、コントロールポイント(単数または複数)から成ります。複数のポイントを作成すると、オブジェクトが、時間の経過と共にパス上を動きます(アニメートされます)。
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例えば、船上を舞台とするロールプレイングゲームを考えます。アンビエンスの一部として、カモメの鳴き声を使います。カモメが、船の周りを飛び回る様子を表現します。これを実現するには、ポジショニングをEmitter with Automationに設定してから、サウンドパスを何種類か作成して、鳥が船の周りを飛ぶパターンをシミュレーションします。また、Attenuation ShareSetを採用してサウンドを減衰させれば、カモメのサウンドがさらにリアルになります。
Automationの使い方は多数あり、例えばジャングルの中の虫、鳥、猿など、固定されていないアンビエントサウンドに利用できます。
3D Automationを使う場合のオプションとして、ゲームのリスナーの向きに合わせて、アニメーションパスの位置をロックすることができます。両者をロックすると、リスナーの向きに関わらず、常に同じスピーカーからサウンドが聞こえてきます。一方ロックしないと、リスナーがパスとは独立して動きます。つまり、リスナーが向きを変えると、サウンドが違うスピーカーから聞こえてくる。
下図は、リスナーのオリエンテーションが変わるときのアニメーションパスの様子を、Hold Listener Orientationオプションがオンとオフの場合で、示したものです。
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Hold Listener Orientationオプションは、オブジェクトのProperty EditorのPositioningタブで設定できます。リスナーのオリエンテーションはWwiseオーサリングツール内で操作できないので、違いを聞けるのはゲーム内だけです。